創業110周年記念社長インタビュー
anniversary
これまでの100年。これからの100年。
ワシダはこれからも進化し続けます!
創業110年を迎え、ワシダの目指す将来とは何か。
岡橋社長の考えをお聞きするため、社外のプロによるインタビューを平成27年早春、本社にて行いました。
インタビュアー
鶴田弥生(つるたやよい)
株式会社ワシダ 代表取締役社長:岡橋 正之 |
──お祭りなどの地域活動から北九州市を代表する老舗企業紹介時に到るまで、ワシダさんのお名前はよく耳にしますので、本日はお会いできて光栄です。実は、社長のお名前が岡橋さんなのに社名がワシダなので不思議に思っていました。
岡橋社長 明治に石油が取れた新潟で鷲田さんという方が油田開発に成功し、九州に販路を拡大するため、ワシダ製油所門司出張所としてスタートした会社だからです。それが明治38年のこと。私で4代目です。
──さすがに歴史がありますね。その中で、社会環境の変革によりエネルギーとしての石油の捉えられ方も変わっているように思います。
岡橋社長 そうです。だからこそ、ワシダも石油の第一創業から多角化の第二創業の時代を迎えています。モータリゼーションの波による単なる石油供給から、より社会への貢献を視野に入れるようになりました。全国にガソリンスタンドが6万ヶ所あった1994年をピークに、現在は半数ほどに減少しています。消費市場の縮小、車の燃費の伸び、電気自動車の登場、水素自動車も開発されています。まさにエネルギー転換の時に、石油事業だけのことを考えていては未来が見えません。
──岡橋社長はこれからの成長戦略をどのように考えられているのでしょうか。
岡橋社長 今現在、社員にとって働きがいがあり夢のある会社づくり、すなわち、魅力のある会社づくりに注力しています。石油事業だけで、その姿を描くのは厳しいでしょう。そこで、石油事業を根幹としながらも、保険事業と便利屋事業も始動しています。これがワシダ第二創業です。
──やはり100年以上の歴史を持つ企業のコア部分である石油事業は、これからも大切になさるのですね。ですが、他のエネルギー事業ではなく、保険や便利屋事業への展開は、とても個性的な判断にも映ります。
岡橋社長 石油事業は捨てません。現在も、スタンド新設などへの投資や、中古車販売・レンタカー事業などは拡充しています。しかし、それだけでは社員と夢は語れないのです。現在取り組むそれぞれの事業は、接客業でサービス業だという共通点があり、突飛なものではありません。社員にとってのチャンス、新たな活躍の場になるように、新規事業への展開は自然な流れでした。
──社員への思いと、企業存続・成長のためのご判断だったのですね。
岡橋社長 1本の柱で立っているのは危ういかもしれません。2本だと風向きによっては倒れてしまう可能性がある。3本だと支えあうことができる。
──その3つの事業が相互作用でより強固なつながりや循環を見せた時、ワシダさんの未来はさらに明るいものになりそうです。
岡橋社長 各事業を言い換えると、給油・洗車・車検・中古車売買・レンタカーなどの石油事業「カーライフ」、生涯設計・人生設計の保険事業「ライフプラン」、家のことなら何でもやる便利屋事業「ホームライフ」となります。お客様により快適で安心安全なトータルライフの提案と支援を行い、お客様に感謝される機会を増やしていきたいです。
──社員のみなさんの仕事のやりがいについても、よく考えられていることが伝わってきます。"夢のある職場"とは、どんな職場のことでしょうか。
岡橋社長 仕事は楽なことではありませんが、皆でワイワイとアイデアを出しながら、共に未来を感じることができるということではないでしょうか。また、自分や仲間、会社にとって新しい目標に挑むことができることも、夢のある職場だと思います。
──その実現には、社員とのコミュニケーションが欠かせないと思います。各部署での会議は当然だと思いますが、岡橋社長ご自身が、社員の皆さんと意見交換する機会はありますか。
岡橋社長 年に2回は、私自身が全社員にヒアリングを行っています。会社への要望や社員自身の希望などを、直接社長に言ってくれという思いから始めました。最初からすべてを話せるわけではないと分かっていますが、継続することで、社員がものを言える機会を確保しておきたいのです。会社は人がつくります。だからこそ、一人一人が何を考えているのかを知りたいのです。
──インナー構築に強いお気持ちで尽力されていることは、社内報を見てもわかります。配信ではなく冊子ですね。
岡橋社長 社内での配布と社員の自宅へも送付をしています。これは、会社の他部署間の距離を縮めるだけではなく、ご家族の皆さんとも情報共有するためです。息子や娘、父親や母親がこんな会社で働いているのかとワシダを知っていただくことで、安心感や信頼感にもつなげたいと考えています。
──社員の方が、社外コンテストなどに参加されることも多く、そのモチベーションの高さに感心いたしました。皆さんが切磋琢磨するいい環境づくりが成功している証ではないでしょうか。
岡橋社長 基本的に、企業は、社長1人だけが闇雲にがんばっていても存続はできません。社員各々が小さな一歩でもいいから前に出ることができれば、その時会社は大きな一歩を踏み出すことができるのです。社員が成長することにより会社も成長するので、一人一人が頑張ろうと思い行動できることが大切です。それも、気持ちがあってもバラバラに動いていては意味がありません。それをうまくコントロールしマネジメントしていくことが重要で、私の大きな責任だと思っています。
──会社は人がつくるというお話もありましたが、社員一人一人をどう活かしていくのかという問題意識を常に持っていらっしゃるのですね。
岡橋社長 社長を継ぐ直前から5・6年の間、時代の流れと共に会社に試練の時が訪れました。その苦しい時代を経たからこそ、社員を大切にしたいという思いが強くなったのかもしれません。
──ワシダさんには、ユニークな人材も多いと伺っています。きっとアイデアを言いやすい社内風土があって、個性を活かすことができているのではないかと思います。
岡橋社長 組織は純化してはいけません。それまでにはない違うカラーの人材が加わることで風は変わりますから、新しい考え方や違う発想ができる人材を受け入れられる会社でありたいです。街も異端児を受け入れられる器の方が、様々な発想が生まれ活性化すると思います。会社にも同じことが言えるのではないでしょうか。色んなカラーがある方が面白いし、様々な考えが創出され、行動できることが大切だと思います。
──創業100年を超え、事業構造の変革を成し遂げた岡橋社長は、これからの100年をどう描きますか。
岡橋社長 新しいチャレンジは今に始まったことではなく、世の中の移り変わりと共に以前からやってきたという自負があります。企業は常に変化しなければ存続できません。多角化を成功させ、新しいビジョンを掲げるということは、常に挑戦が必要ということです。
──100年の歴史に説得力があります。そして、新しいチャレンジができるという魅力が社員の方にはありますね。
岡橋社長 常に挑戦している方が楽しいですよ。「この会社で働けて良かった」と思ってもらえる社員の幸せと、地域密着で、これからも皆と夢を語りながら進んでいきます。
──これからも地域の中で存在感を発揮してくれると期待しています。貴重なお話ありがとうございました。